これは母が着物の端切れで作ったお手玉。
母は色々作るので親戚やお友達から不要になった着物や端切れが頂けて
チョコチョコと色々と縫っては色々な方に差し上げています。
一番良いなーと思ったのは喪服を頂いた時、母は必ず紋のついた場所で喪服用の手提げを縫って着物を下さったお宅にお返しするんです。
その家の紋がついた黒い手提げ袋をね。
ほら、着物の喪服は紋がついてるでしょ、あの部分。
黒い手提げ袋はお葬式などに出かける時必ずと言ってよいほど必要になります。
皆さんご自分の家の紋がついた手提げ袋を喜んで下さって
私は、やるな〜母よ!といつも感心するのです。
311の時、あるボランティアの方と知り合いコーヒーカップを被災地に送りました。
その地域は高齢者ばかりの村で、自衛隊が入るのが遅れていると聞きました。
公民館で皆さん寝起きして、男性は毎日自分達で一軒一軒片ずけをし
女性はご飯を苦労して作っているが、食べ物には困っていない様子でした。
でもコーヒーカップが無い。
せめてキチンとコーヒーカップで飲みたい。と話しているとボランティアさんに教えて頂きスーパーへコーヒーを買いに行きました。
スーパーの棚は既に空っぽ状態で東京でコーヒーを買うのは難しい時でした。
何でも予備のある母に話すとインスタントコーヒーが棚から二本も。笑
コーヒーカップは私のお客様用を。
そーしたら母が、縫った袋を20枚持ってきて
柄は色々にしたわ。コーヒーと一緒に送りなさいと。
なぜ?と聞くと、女はね、これが誰に似合うとか、これは私に似合うかしら
なんて話しながら選ぶのが楽しみの一つなのよ。
悲しい時でも、大変な時でも、こんな袋でも、その時間少しでも楽しく過ごせたら
気晴らしになるでしょ〜。と。
買い物嫌いの私には良く理解できなかったのですが送ってみました。
その後衛星電話を自衛隊から入手した町長さんの娘さんから電話が。
カップのお礼と共に、袋のお礼も。
で、聞いてみたのですよー。女性の反応を。
するとね、母の言う通りになっていて!ビックリ。
皆さん、これが似合うよ!などと話して楽しんで頂けたと。
ほ〜!と、母に感心しました。
食べ物でもなく、袋一つで幸せ気分などと思いもしなかった私。
後から母に、そこが大切なのよ!と言われました。
食べ物は国が用意するだろうけど、楽しみはくれないわよ!とね。
私の両親は、無駄なことって人を幸せにする時があるんだよ、と私を育てました。
祖父母も同じ事を私に話していました。
若い頃は意味が解らず、何言ってるんだか、なんて思っていたのですが
311の時に初めて意味を理解しました。
あの時、見知らぬおばあさん方を笑顔にした母を誇りに思います。
ま、でも日頃は親子だけに鬱陶し〜のですがね〜笑。
ゼロウエストにも非協力的だし(−_−;)